私もご相談者さまと年齢が近く、零細企業を経営している立場ですので、お気持ちはよくわかるつもりです。
まず端的に私の考えを申し上げると、国民年金基金への加入に強いストレスをお感じになられるのであれば、悩むことなく前者の方向性で、ご自身のペースで無理なく資産形成をしていかれることをおすすめいたします。
もちろん、国民年金基金は、老後に国民年金しかない自営業者の方が、サラリーマンとの年金格差を少しでも埋めるために誕生した制度です。それに、解約できないことは実はメリットとも言えます。安易に解約できてしまうと、多くの方が老後に困ってしまうことになりますから。またおっしゃるように、税制面でも優遇されています。
しかし、ご質問の文面からは、不安なお気持ちが伝わってきます。制度のメリットを理解されたうえで、それでも躊躇されるのであれば、無理に加入されなくてもよいというのが基本的な考えです。
ちなみに、個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入が可能で、この制度にも多くのメリットがあるのですが、国民年金基金と同様に、脱退に制限がありますので、同じ理由で無理な加入はおすすめしません。
とはいえ、自営業者の方にとって一定の老後資金対策は不可欠ですので、ご自身のペースで無理なく増やすことを考えていきましょう。
具体的には、株式を主な投資対象とした「投資信託(ファンド)」を一つ選び、コツコツと「積み立て投資」をできるだけ早く始められることをおすすめいたします。
その際、毎月の投資額を最初に設定しておいて、できればそのままずっと続けていかれることが望ましいのですが、収入が落ち込んだ期間は減額したり、積み立てを中断したり、逆に収入が増えれば増額したりすることも自由にできます。
私自身、20代の後半から積み立て投資を開始し、現時点で約20年が経過していますが、今でも全く同じファンドに同じ金額を同じリズムで投資し続けています。この間、世の中では「ITバブルの崩壊」や「リーマンショック」などをはじめとして大小さまざまな暴落に見舞われましたが、むしろ下がったときにこそたっぷりと買い仕込むことができたため、その後のパフォーマンスの大きな向上につながりました。
私たちの身の回りにある様々なモノやサービスは、企業によって生み出されたものです。歴史をさかのぼれば、人々の少しでもより良い生活をしたいという欲望が原動力となって今まで経済が成長してきましたし、おそらくこれからもそうなっていくでしょう。であれば、株価は短期的には大きく上下動しますが、長期的にはその企業の価値に収れんしていくはずです。
ですから、少額ずつ時間を分散させながら株式にコツコツ投資していくという手法こそ、高い再現可能性をもって着実な資産形成を行うための王道です。
その際には、少額から投資できる投資信託(ファンド)の活用が最適です。本業を通じて社会課題を解決し、より良い世の中づくりに欠かせない企業を丹念にリサーチして投資先企業を選定している、長期での投資に資する本格的なファンドを選ぶ手間を惜しまなければ、何も心配することなく、時間を味方につけていずれ大きなリターンを手にすることができるでしょう。
さまざまな制度における「税制優遇」などのメリットは一見お得で魅力的に思えるかもしれませんが、節税というのはあくまでもオマケみたいなもの。納得できる投資先を見つけた上で、何かに縛られることなくご自身のペースでゆったりと資産形成を行い、あとは本業に集中されることこそ、老後までお金の不安なく暮らしていかれる上で大切なことだと思います。
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